先日Patagoniaのフリース(R1,R2シリーズ)をまとめて紹介した.今度はArcteryxのフリースを何枚か購入したのでまとめて紹介していく.
Arcteryxのフリース群
アークテリクスのフリースはロングセラーとしてデルタシリーズが有名だが,その他にも現在,カイヤナイトとコンシール,コバートなどいくつかのラインナップが存在する.下の画像はArcteryx公式から拝借した2025冬シーズンのラインナップだ.アエスタスは女性用,ハラムはウールとの混織フリースで,オレラはFW25の新作らしい.

System of Dress アークテリクスのレイヤリング提案 | アークテリクス公式オンラインストア
デルタが一番薄型軽量で行動中のフリースとして設計されているのに対して,コンシールやカイヤナイトはより重く,保温性も高いアイテムとなっている.公式で表記されている素材は以下のようにデルタだけ異なる系統となっており,設計思想が反映されていそうだ.
- デルタ:帝人 Octa ポリエステルフリース
- カイヤナイト:Polartec Power Stretch Pro
- コンシール:Polartec Power Stretch
- コバート:Alpenex II™フリース
(とはいえ素材はリニューアルごとにコロコロ変わるのであくまで参考程度に...)
ラインナップはジャケットタイプやクルータイプなどいくつか存在しているので,用途に応じて使い分けできる.
| ファミリー | 商品名 | 概要 | 価格 |
|---|---|---|---|
| デルタ | デルタ ハーフジップネック | 胸元にハーフジップがついたタイプ(フードなし) | 29700 |
| デルタ プルオーバー フーディ | フード付きのプルオーバー | 29700 | |
| デルタ フーディ | フード付きのジャケット | 37400 | |
| デルタ ジャケット | フードなしジャケット | 34100 | |
| カイヤナイト | カイヤナイト ジャケット | フードなしジャケット | 29700 |
| カイヤナイト プルオーバー フーディ | フード付きのプルオーバー | 29700 | |
| カイヤナイト フーディ | フード付きのジャケット | 34100 | |
| コンシール | コンシール クルー | フードなしのクルーネック | 29700 |
| コンシール プルオーバー フーディ | フード付きのプルオーバー | 34100 |
今回購入したのは以下の3点で,以前PatagoniaのRシリーズのフリースを色々買ってみて満足度が高かったので,Arcteryxの最近のフリースも試したくなったのが理由だ.今まで愛用していたデルタとの違いも見ながら紹介していこう.
- コンシール クルー
- 表面の耐摩耗性が高いらしいので,冬登山のベースレイヤー的に使えると嬉しい
- カイヤナイト プルオーバー フーディ
- 同じく冬登山のベースレイヤー的に使いたい.下界でもスウェット的に使えると嬉しい.
- カイヤナイト ジャケット
- 登山や下界で上から羽織る形でミドルレイヤーとして使いたい.
コンシール クルー
開封
涼しい日のクライミングに最適なコンシール クルー。暖かく透湿性も良好な、リサイクルポリエステル73%のPolartec® Power Air™Hardface® フリースを採用。毛玉や擦り切れに強い表地は、なめらかで耐久性も抜群です。摩耗しやすいエリアには、耐摩耗性ストレッチナイロンを配置しました。立体構造により動きやすく、機能は最低限に絞ったミニマリストデザインが特徴です。アクセスしやすい胸元のジップポケット、調節可能な裾、PFASフリーの撥水加工など、無駄を削ぎ落としたデザインにより、クライミングに集中できます。
- 素材:Power Stretch ハードフェイス加工 ジャージーベロア – 88% ポリエステル、12% ポリウレタン
- 重量:約445g
- 特徴:XX
- フィット:リラックス
公式ページを見る限り登山よりクライミング用に耐久性を上げたフリースという立ち位置の本品だが,長く使うことを考えると登山用途でも耐久性があるのはありがたいのでホイホイ買ってしまった.重量が445gと重めだがクルータイプはあまり脱ぐことを想定していないので気にならないだろう.

腕部分や肩部分など色が濃くなっているところは耐摩耗性ストレッチナイロンが配置されている部分だ.ポケットは左胸に一つ配置されている.この手のポケットを使うかどうかは人によるだろうが,ベンチレーションにも使えるので便利ではある.グリッドがかなり細かいので見た目あまりフリース感はないのだが,このストレッチナイロンによって一気にアウトドア感が強くなっている印象だ.
クルーネック仕様になっている.PatagoniaのR系のクルーに比べると首周りはかなりタイトに作られている.これはあとで紹介するカイヤナイトプルオーバーも同じで,Arcteryxの傾向かもしれない.

表面は非常に滑らかな触り心地で,この感じはPatagoniaのR1サーマルに非常によく似ている.比較するとコンシールのほうが少し硬くて丈夫に感じる.耐摩耗性ストレッチナイロンの部分はゴワゴワしていてソフトシェルに近い触り心地だ.

裏面は少し起毛している.実際に着てみると非常に肌触りも良くて直接肌の上に着ても長時間着ていられる.ただし,全体的な着心地としては耐摩耗性ストレッチナイロンの分犠牲になっていると思う.

袖口は半分だけヘムコードになっていてしっかり絞られている.このタイプは隙間風を防げるのでより防寒性が高まる.腕部分の多くは耐摩耗性ストレッチナイロンが配置されている.クライミングに限らず腕の部分は傷つきやすいのでありがたい仕様だ.

サイズ面ではリラックスフィットになっている点に注意が必要だ.私は店舗にサイズを見に行って(普段はMを買っているが)Sサイズを購入した.Sサイズでちょうど良かったのでサイズはよく見たほうが良い.購入してから気づいたが,腕の部分がかなりゆったり作られているため上から服を着ると干渉してしまってレイヤリングがやりにくいのが難点だと思う.
感想
全体的にはよくできたクルータイプのフリースだ.高い保温性と耐久性を持っておりアクティビティでは非常に使いやすいと思う.
PatagoniaのR1サーマル クルーとの比較では,コンシールのほうが重いだけあってより保温性が高い.これは生地が厚いこともそうなのだが,透湿性がR1サーマルより低いことも影響してそうだ.コンシールはロッククライミングを想定して作られているので,R1サーマルよりも防風性を上げているからだと思われる.そのためR1サーマルよりもさらに寒いときに最適なアイテムだと感じた.流石に見た目がテクニカルすぎるのと着心地がゴワゴワしているので,あまり街着としては適さない気がする.
一方で気になるのはやはり値段だ.フリース1枚で3万円もする価格設定で,PatagoniaのR1系統のほうが安い.また,リラックスフィットのためかなり余裕のある作りになっているのでその点も人を選びそう.とくに干渉してしまって上からのレイヤリングがやりにくい点には注意したい.耐久性に優れていることからコンシール1枚だけで活動するシーンで使う方が良いだろう.
カイヤナイト プルオーバー フーディ
山岳アクティビティに欠かせないパーフェクトなフーディ。快適な着心地と保温性に加えて、その汎用性に磨きをかけるフィット感と機能性を兼備。カイヤナイトはそんな頼れる一着です。ポーラテック Power Stretch® Pro フリースが、驚くほどの動きやすさを実現。立体構造パターンと人間工学に基づいたデザインにより、動きの自由度をさらに高めました。このフリースが持つ耐久性の高い表地は、山の現実にも対応可能。内側を起毛させて柔らかな着心地を実現しました。ミッドレイヤーとしてはもちろん、単体でも着用可能です。 変更点:リサイクル素材を使用した新素材を採用してアップデートしました。
- 素材:Power Stretch® Pro ナイロンジャージー/カチオン染色リサイクルポリエステルベロア、248gsm – ポリエステル53% 、ナイロン38%、ポリウレタン9%
- 重量:約405g
- 特徴:通気性・速乾性・軽量性に特化
- フィット:レギュラー
デルタよりも保温性高く作られたテクニカルフリースであるカイヤナイトは,パッとみたり触ったりした感触でだいぶ暖かそうとわかるくらいに違いがある.デルタと比べてかなり厚く作られていてふかふかだ.ベースレイヤー的に使うことを考えていた(=内側にレイヤリングしない)のでサイズはSにしたがジャストサイズだった.生地がPower Stretch Proで全体的にストレッチするので多少小さめでも違和感なく着られると思う.

コンシールは胸ポケットがあったがカイヤナイトは左右に腰ポケットが配置されている.登山や通常のアクティビティ用途ならこの腰ポケットの方が使いやすくて良い.生地がそこそこ厚いのでポケットに物を入れても形が崩れにくいのも高評価だ.

プルオーバータイプで,かつフードがついているのでアクティビティの時には防風性能が上がって良さそう.フードはヘルメット対応していない小さいタイプで使いやすい.ヘルメットを使う場合はこの上からヘルメットを被ることになる.

裏返すと面白いことにお腹側にはメッシュ素材が貼られている.これによって着心地の向上や抜けの良さに寄与しているのだろう.フリース素材もグリッド構造ではないので,通気性よりも保温性に振っていると思う.実際重量も約400gと比較的重く,着た感じもデルタはもちろん,先日購入したPatagoniaのR1サーマルより一段暖かい.着心地もとても良く,プルオーバーとして長時間着ていても全く違和感がないのはさすがアークテリクスだ.

袖口はコンシールと異なり絞られていないが普通の使い方で問題になることはないだろう.

実際使ってみた印象としてはPatagoniaのR1 サーマルよりさらに暖かく,登山中の行動着としてはオーバーヒートしてしまって使いにくいと感じた.その代わり日常着や旅行などの強度が低い場面での防寒具としては最適だ.私も2025年度の冬は本品とPatagoniaのR1 サーマルを日常着としてほぼ毎日着ていた.フード付きなのでR1 サーマルよりカジュアルな感じにはなるが場面を選べば使いやすい.
カイヤナイト ジャケット
汎用性が高く、使用頻度の高い必携フリースのカイヤナイト。ミッドレイヤーとしてはもちろん、単体でも着られ、トレイル、岩山、雪山、キャンプなど、幅広いアクティビティで活躍します。暖かで動きやすく、快適な着心地のポーラテック Power Stretch® Pro フリース。空気の流れによって透湿性を確保し、表面には耐摩耗性、耐久性に優れたナイロンを使用しています。そして、内側は柔らかく起毛されています。4wayストレッチと立体構造パターンが抜群の動きやすさ実現。シェルの下にレイヤードしやすい、すっきりとしたフィットに仕上げました。 変更点:リサイクル素材を使用した新素材を採用してアップデートしました。
- 素材:ポーラテックパワー ストレッチ プロ(リサイクルポリエステル53%、ナイロン38%、ポリウレタン9%)
- 重量:約395g
- フィット:レギュラー
一つ上と同じくカイヤナイトの,こちらはジャケットバージョン.ジャケットなので脱ぎ着がしやすい,ジッパーで暖かさを調整しやすいというメリットがあり,よりアクティブな活動向きと言えるだろう.他にフード付きの製品もあるがこちらはフードなしだ.フードがない方がミドルレイヤーとしては使いやすい.
胸ポケットはなく,収納は左右の腰ポケットのみだ.


チンガード部分は別の素材が使われていて,デザイン的にも良いアクセントになっている.

袖口の処理はプルオーバーと同じだ.特に絞られたりはしていない.

左右ポケットのジップはシールされている.フリース自体が防水ではないのでどこまで意味があるかは不明だ.少し持ち手が小さいので開けるのに苦戦することがある.その分デザイン的には洗練して見えるのでトレードオフだろう.


裏側も表面と似たような加工で触り心地が良い.あまりグリッド感もないのでこれによって保温性を高めているのだろう.


感想
デルタと同じくロングセラーのフリースで非常に良い製品だと思った.行動着として設計されているデルタと異なり,より保温性に振っていて明確に使い分けできるのもポイントが高い.個人的にはデルタは薄すぎて使い所が難しいと思っていて,一枚持つならよりオールラウンドに使えるカイヤナイトを選びたい.
Patagonia R1サーマル クルーとの比較では,カイヤナイトの方が重くより保温性が高い.コンシールとの比較でもこちらの方が若干保温性が高いのと,何より着心地もこちらの方が良いので特に登山用途だったらカイヤナイトで良いと思う.今回買った3枚の中では本品を一番利用している.やはりフリースのジャケットは使いやすい.
欠点としてはカイヤナイトも値段が高いのがすごく気になる.こちらも1枚3万円近いので他の選択肢もよく吟味したい.
デルタ(参考)
私の所有しているデルタはデルタLTという商品名でもう10年以上前に購入したものなので,参考程度に紹介しておこう.デルタはとにかく行動着用に設計されており薄くて通気性が抜群なのが特徴だ.その代償としてあまり保温性は期待できないので,下界で使うような製品ではない.
当時はArcteryxもまだ安く,為替が良かったのもあって並行輸入すると驚くほど安くArcteryx製品を購入できた.このデルタLTも数千円で購入したような記憶がある.Arcteryxは品質もしっかりしていて山でガシガシ使っても10年以上持つのでめちゃくちゃコスパが良い.こういう観点からもアウトドア製品が好きだ.

チンガードがついているので一定の防風性能がある.

Arcteryxマークは左腕部分についている.ポケットもあるがこの場所にポケットがあっても個人的には使うことはない.デザインのアクセントだ.

裏面も表面とほぼおなじグリッド構造になっている.着心地は非常に良い.

まとめ
Arcteryxのフリースを3枚紹介した.全体的に非常によくできた製品で,特にカイヤナイトはPatagoniaのR1サーマルより温かいフリースとして2025冬シーズンにたくさん利用した.登山の行動着として使うと少し保温性が高すぎるので,停滞時の上着や,下界や旅行,負荷の低いアクティビティ向けとして使うのが良いと思う.
製品のクオリティは非常に高いがいずれも値段が3万円近くとフリースとしては高価すぎるのが気になるところで,この値段を出せば化繊ジャケットも視野に入ってくるのでよく他の選択肢も吟味したほうが良いと思う.その点Patagoniaは値段はより安価でフリースらしく気軽に買えるだろう.


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