Apple Studio Display レビュー

2022年3月デスクトップMacの新ラインナップ 「Mac Studio」 とともに27インチ5Kの新型純正ディスプレイ 「Studio Display」 が登場した.これを購入して4ヶ月程度使ってきたので,レビューを残したい.

Studio Display概要

Appleは2019年に32インチ6Kのプロ向けディスプレイ「Pro XDR display」を発売しており,本機は現行2つめのディスプレイとなる.一方で以前から発売されていた27インチの5K iMacは終売となり,Apple純正で27インチ5Kの環境を使うにはこの「Studio Dsiplay」しかなくなった.

27インチ5Kという以外は平凡な性能のモニターで,先行して登場したPRO display XDRのような衝撃はなかった.一方でセンターフレーム対応カメラや6スピーカーシステムを搭載しており,これ一台で色々なことをこなせる.デスクトップMacと組み合わせてiMacのように使えるのが大きな特徴だ.

iMacは確かにPCとモニタを一つにすることで価格を抑えた良い商品ではあったが,ディスプレイを自分で選べない感覚になったり,持ち運びが面倒だったりするところがあった.今回のMac StudioとStudio Displayの組み合わせは,PCとディスプレイを再び分離してくれて個人的には非常に嬉しいアップデートだ.

公式ページから抜粋した主要なスペックは以下の通り.本当になんというか値段の割に普通のスペックだ...

  • ディスプレイ
    • 27インチ 5K Retinaディスプレイ(5,120 x 2,880ピクセル)
    • リフレッシュレート 60Hz
    • 600ニトの輝度
    • 10億色対応
    • 広色域(P3)
    • True Toneテクノロジー
  • カメラ
    • 122°の視野角を持つ12MP超広角カメラ,絞り値F/2.4
    • センターフレーム機能(自動で人を画角の中心に収めてくれる機能)
  • オーディオ
    • フォースキャンセリングウーファーを備えた、原音に忠実な6スピーカーステレオシステム
    • ドルビーアトモスの音楽またはビデオ再生時は空間オーディオに対応
    • 高い信号対雑音比と指向性ビームフォーミングを持つ、スタジオ品質のアレイ
    • Siri対応
  • 接続ポート
    • アップストリーム:Thunderbolt 3(USB-C)ポート x 1(96W給電)
    • ダウンストリーム:USB-Cポート(10Gbps)x 3

購入時に選べるオプション

Studio Displayは購入時に以下の二つの項目をオプション指定できる.

  • 表面の仕上げ
    • 標準ガラス(デフォルト)
    • nano-textureガラス
  • モニタースタンド
    • 標準スタンド(デフォルト)
    • 高さ調整のできるスタンド
    • VESAマウント

nano-textureガラスと高さ調整のできるスタンドは追加料金が必要だ.

表面仕上げは標準ガラスがグレア,nano-textureガラスがノングレア仕上げだと考えるとわかりやすい.後述するがnano-textureガラスはノングレア仕上げとしてはかなり出来が良いので一度店頭でみてみることをおすすめしたい.私はnano-textureガラスのためだけにStudio Displayを購入したと言っても過言ではない.

モニタースタンドは標準のスタンドだと高さ調整が効かないため,拘りたければ高さ調整のできるスタンドかVESAマウントに変えた方が良いだろう.iMacの頃からの不満なのだが,いい加減このどれか一つしか選べないという前時代的な仕組みをやめてもらいたい.Pro Display XDRではようやく後からスタンドを取り外してVESAマウントでも利用できる(他社モニターが採用している方式)ようになった.私はディスプレイは全てVESAマウントで吊るすようにしているので,VESAマウント方式を選んだ.

開封

購入時の同梱物は

  • 本体(電源ケーブル付き)
  • 編み込みThunderbolt3ケーブル(1m)
  • nano-textureガラス用のクリーニングクロス

の3点だ.電源ケーブルは取り外し不可で本体にくっついている.これも怖いからやめて欲しいんだよなぁ...とはいえiMacと異なり電源ケーブルは黒の編み込みで耐久性は高そうだ.

Thunderbolt3ケーブルは長さが1mで通常の環境では十分な長さだと思う.地味に編み込みのThunderboltケーブルは珍しい気がするので嬉しい誤算だ.

クリーニングクロスはnano-textureガラス用にわざわざ開発されたものらしく,Studio Displayを他の布で拭いてはダメという但し書きまである.確かにこのクロスだとstudio displayのホコリや指紋はよく取れる.また,試しにクリーニングクロスをEizoのEV2740Xに使ってみたら全然汚れが取れなかったので,nano-textureガラス用に最適化されているというのもあながち間違いではなさそうだ.

VESAマウントに設置したところ.本体質量は5.5kg程度あるのだが,iMacに比べれば一段軽くて持ち運びもしやすいだろう.モニターアームはエルゴトロンLXで問題なく吊るせた.

本体はアルミ製なのだがこの質感がかなり良くて,やはりプラスチック製のモニターとは一線を画する美しさがある.

nano-textureガラスはこういう黒背景で作業するときに本当に目が疲れなくて助かる

レビュー


4ヶ月使ってきて基本的には良い製品だと思っている.項目ごとに細かい感想を記す.

画質

画質については27インチ5Kというスペックで文句なしだ.iMac 2019と並べて使っているが違いがわからないので基本的には同じものだと思う.27インチ5Kをドットバイドットで使うと流石に文字が小さすぎるので通常はRetina画質で使うことになると思うが,それでも4KディスプレイをRetinaで使った時に比べても一段綺麗なので,5K iMacの美しさに慣れた人の乗り換え先としては良い選択肢だと思う.

推したいのがnano-textureガラスの完成度の高さだ.基本的にApple製品はグレア液晶で,これはこれで画面が綺麗で良いのだが近年はダークモードで作業することも増えてきて画面の反射がうるさく感じることが多い.特に私は多分画面の見過ぎのせいだと思うが結構目が刺激に敏感になってしまっている...今回は店頭で感動してノングレアのnano-textureガラス仕様で購入した.大まかな仕組みとしては表面に細かいギザギザをつけることで光を乱反射させているようだ.このnano-textureは実物を見て欲しいが本当に反射が少なく,通常ガラスのiMacと比べてももちろん同じノングレア仕様のEIZOのEV2740Xよりも明らかに反射が少ない.

一方でnano-textureガラスは表面にギザギザをつける性質上,通常ガラスに比べて画質の劣化があると言われる.実際細かく見ると文字の滲みがあるのは間違いない.しかし通常の環境でディスプレイから何十センチか離れて見ればその違いは(少なくとも私には)わからない.画像や映像関係の人には致命的だと思うが,そうではなくテキストベースで作業している人にとってはそこまで大きな問題にならないと思う.

画質とはちょっと離れるが,nano-textureガラスの特性なのか他のディスプレイに比べて明らかにホコリがつきやすい.頻繁に掃除すれば済む話なのであまり深刻なデメリットではないが一応言及しておく.

サイズ・質感

設置した時の第一印象はiMacと比べて小さいということだった.iMacはベゼルが大きく下にも張り出しているので,並べるとStudio Displayはコンパクトにまとまって見える.また,重さもiMacの半分近くで持った時の感触もだいぶ違う.実際に下表でiMacと比較すると特に高さにだいぶ違いがあるのがわかると思う.

機種高さ奥行き重さ
Studio Display62.3cm36.2cm3.1cm5.5kg
iMac 201965.0cm(実測)44.6cm9.42kg

筐体はiMacと同様にアルミ製で耐久性は全く問題ないだろう.地味にアルミ製のディスプレイは珍しいので,長く使っていくにもちょうど良いと思う.上でも述べた通り,筐体のアルミは美しくて無機質になりがちなデスクに彩りを与えてくれる.

一方でベゼルはiMacと比べれば小さいが世に出回っている他のモニターに比べれば大きいのも事実で,一例として自宅で利用しているEIZOモニターの方がベゼルは半分くらい小さい.複数台並べた時にこれが気になる人もいそうだなと感じた.この辺は個人個人の美意識で好みが変わりそうだ.

接続端子と操作

本ディスプレイで一番問題なのは接続端子の数が少なすぎることである.アップストリームのThunderbolt3が1つとダウンストリームのUSB-C(10Gbps)が3つの合計4つしかない.これは現代的なディスプレイとしては少なすぎる.アップストリームも一つなのでPCの切り替えができないし,ダウンストリームにThunderboltがないのでデイジーチェーンもできない.少し前のMac Bookが端子の数を減らしてユーザーから不満の嵐だったのを思い出す.個人的にはカメラやオーディオに金をかけるくらいならこっちを何とかして欲しかった...端子周りはStudio Displayの一番の不満点で,次の機種を出すなら改善して欲しい.

端子はThunderbolt3とUSB-C3つ.Thunderbolt3端子は雷マークがついていてすぐに判別ができる.

2026年3月に新型のStudio Displayが発売された.アップストリームがThunderbolt5,ダウンストリームがThunderbolt5とUSB-C2つと微妙にアップデートされた.

また,このディスプレイには電源ボタンがなくPC(Mac)とつなぐと自動で電源が入るという仕組みを採用している.ディスプレイのソフトウェアアップデートにもMacが必須のようだ.このような性質上事実上Macの専用ディスプレイになっている.

カメラとオーディオ

私はすでに外部カメラやスピーカーを揃えていて本機の内蔵カメラ/スピーカーを使うことはないが,少しだけ試してみた所管を残しておく.確かにスピーカーはAppleが推しているだけあって結構良い音なのは間違いない.最近のApple製品はMac BookやiPadでもオーディオに力を入れているのでこれもその一環かなと感じる.ディスプレイでスピーカーがちゃんとしているものは少ないのでスピーカーを重視する場合は貴重な選択肢だ.また,ドルビーアトモスやSiriに対応しているのは人にとっては重要かもしれない.

一方でカメラの方は,散々文句を言われているようだがまあ普通だろう.ちょっと盲点だったがBenQのモニターに引っ掛けて使うタイプのデスクライト,Screen Bar Plusをつけてみたところベゼルが狭すぎてカメラが隠れてしまったので,似た環境で使おうとしている方は注意した方が良い.

引っ掛けるための部分がちょうどカメラを覆い隠してしまう.

私のようにすでに色々揃っている人間にとってはスピーカーもカメラもいらないからその分安くしてくれと言いたいところだが,オールインワンですぐに使えるというところにも価値があると思う.

まとめ

購入してから4ヶ月程度たって価格は高かったが概ね満足している.27インチ5Kの画質とnano-textureガラスによる反射の少なさで集中しやすいと思う.運用面で致命的なのはWindows/Linuxで使いにくいのと端子の少なさで,これらさえケアできればニッチな需要に刺さる良いモニターだと思う.

  • Pro
    • 5K27インチの画質
    • nano-textureガラスは本当に反射が少ない
    • スピーカーの音質が良い
  • Con
    • 価格が機能に対して高すぎる
    • ほぼMac専用のモニター
    • 入力端子がThunderbolt3一つだけ
    • 公式が推している割にカメラ画質は微妙

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