3月に演奏会で小品を一つ弾いてきたので練習を振り返る.
選曲
この冬は就活などで非常に忙しく,誘われたタイミングでも本当は断ろうかと思っていたのだがまぁなんとかなるさの精神で引き受け,その代わり簡単な小品を一つやることにした.最初はChopinのノクターンあたりでよかろうと思っていたが色々楽譜を漁るうちにScriabinをやりたくなってきて以下のような曲を検討した.
- Impromptu Op. 12-2
- Poem Op. 32-1
- Two Poem Op. 63-2
- Five Prelude Op. 74からどれか
中期,後期作品は譜読みで苦労するとヤバいと思ったので一番簡単そうなImpromptuを選択した.ScriabinのImpromptuは初期作品が3つだけあり,いずれも2曲からなる.
- Impromptu Op. 10
- 第1番 嬰ヘ短調 / 第2番 イ長調
- Impromptu Op. 12
- 第1番 嬰ヘ長調 / 第2番 変ロ短調
- Impromptu Op. 14
- 第1番 ロ長調 / 第2番 嬰ヘ短調
どれもロマン派ながらも初期のScriabinらしい晦渋さを併せ持った曲群で聴いていて楽しめる.Op. 12-2はテンポも遅めで技術的に苦労するところはないだろうと判断して採用した.ちなみにOp. 12全曲は時間が足りないと判断して避けたがこれは賢明だったと思う.Op. 12-1は全編がクロスリズムに支配されていてちょっと大変そうだ.
練習
Op.12-2はABA’構成で,冒頭は左手の三連符にのって右手がノクターン調の変ロ短調のメロディを奏でる.右手が非常に美しくて弾いていても惚れ惚れするのだが,半音階的でどうも覚えにくくていきなり苦戦した.

右手は同じテーマが形を変えて繰り返されるが,途中から左手の伴奏はアルベジオに変化してより動きが出てくる.

和音の連打が現れて場面は移行する.ここは冒頭と打って変わってフォルテッシモの重厚な和音連打で, 弾く側としても和音も覚えやすいのが助かる.

音程を下げてデクレッシェンドで幕を閉じて中間部Bに転換する.Bの冒頭は非常に静かで静謐な雰囲気でAの冒頭よりもより透明感がある.技術的にはここで本曲初めてのクロスリズムが現れる.

だんだんと曲は複雑さを増していき,再び主題に戻ってくるが,そこではもはや冒頭部のような繊細さはなくffで両手に和音連打による伴奏が入る.クロスリズムと相まって弾いていて気持ち良い部分だ.

最後第二主題が再現されて曲は割と唐突に終わる.

全編通して技術的に困難な部分はないと思う.強いてあげるとすれば最後の画像を見ればわかるようにシ-レのオクターブを超える和音を連打しないといけないので指が小さい人には大変かもというくらいだろう.
どちらかというと譜読みの方が大変な印象で,冒頭の茫洋とした雰囲気のメロディを覚えたり,3:4のクロスリズムを正確に処理したりと初期スクリャービンらしく頭を使う部分が多い.今回練習時間が全然取れなかったこともあるが暗譜するのにめちゃくちゃ時間がかかってしまい,結局本番でも自信がなくて楽譜を見ながら演奏するという結構久しぶりの珍事となってしまった...
まとめ
Scriabinの即興曲Op. 12-2を演奏会用に準備した.少し暗譜は大変だが曲自体は非常に魅力的でテクニカルな難点もないので,初期Scriabinのレパートリーとしてかなりおすすめだと思った.そのうちOp. 12-1の方にもチャレンジしたい.


コメント